
韓国最大の映画祭、第14回釜山国際映画祭が10月8日から16日まで開かれ、バラエティーに富んだラインアップで大勢の観客を集めた。
幕開けは、8日夜に海に面した屋外会場で開かれたレッドカーペット。今年は例年にも増して華やかな顔ぶれがそろった。オープニング作品「グッドモーニング・プレジデント」で4年ぶりにスクリーンに復帰したチャン・ドンゴン、仏映画「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」での木村拓哉との競演が注目のイ・ビョンホン、「しんぼる」の松本人志監督と出演チームなど国内外のスターが登場するたび、大きな歓声が上がった。

今年はワールドプレミア98作品を含む70カ国の355作品を上映し、過去最大の規模に。各国のフィルムコミッションや映像業者の展示会、フィルムマーケットなど同時開催のイベントも数多く開かれにぎわった。特に注目されたのはコンテンツの違法ダウンロード防止キャンペーン。インターネットが広く普及する韓国では映画やドラマ、楽曲の違法ダウンロードが後を絶たないが、その防止に芸能人自らが立ち上がったものだ。アン・ソンギをはじめパク・チュンフン、チャン・ドンゴン、オム・ジョンファ、キム・ハヌル、ハ・ジウォンらトップスターが駆け付け「ダウンロードは適法に」と呼びかけた。

今年からは、映画祭の新たな舞台もお目見えした。メーン会場のリゾート地・海雲台の南に開発されたニュータウン「センタムシティー」。この地区のデパート内にあるシネマコンプレックスが上映会場となり、さらに快適に映画を見られるようになった。
ベテランと若手が受賞
期間中の9日、釜山映画評論家協会が選ぶ映画賞の授賞式が行われた。最優秀女優賞は大ベテランのキム・ヘジャ。ポン・ジュノ監督の「母なる証明」(10月31日日本公開)で、殺人罪に問われた息子(ウォンビン)の無実を証明しようと奔走する母親を熱演した。子を思う母の苦悩と執念を表現した力量が高く評価された。最優秀男優賞は「素晴らしい一日」のハ・ジョンウ。2007年の「チェイサー」でブレイク後も数々の映画に出演し、今年は冬季五輪のスキー・ジャンプチームの挑戦を描く「国家代表」が大ヒット。着実にキャリアを積み重ねている。新人賞は「映画は映画だ」のソ・ジソプとカン・ジファンがダブル受賞し、会場に詰めかけた日本メディアの注目を集めた。
ビョンホン&キムタクに熱い声援
同じ9日には「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」のイ・ビョンホン、木村拓哉、ジョシュ・ハートネットが勢ぞろい。野外特設会場には前夜から熱心なファンが陣取り、3人が登場すると熱い声援を送っていた。
(文・芳賀恵、写真・岩渕弘美)
写真上:仏映画「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」での木村拓哉と共演したジョシュ・ハートネット(左)とイ・ビョンホン。レッドカーペットにそろって登場=いずれも韓国・釜山で
写真中:韓国の話題作「国家代表」の出演者ら
写真下:オープニング作品「グッドモーニング・プレジデント」で4年ぶりにスクリーンに復帰したチャン・ドンゴン