17世紀のスペインを舞台に、伝説の英雄の活躍を描く歴史大作「アラトリステ」の主演俳優、ヴィゴ・モーテンセンが12月1日、東京都内で記者会見した。来日は「ヒストリー・オブ・バイオレンス」(05)公開以来で、約3年ぶり5回目。「スペインの人々が、自国の歴史を振り返る初の映画。歴史を深く掘り下げるチャンスで、20年後もスペインを代表する作品になるだろう」と語った。
ファンタジー大作「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズで人気が上昇し、デビッド・クローネンバーグ監督の「イースタン・プロミス」(07)などで渋い演技と存在感を見せるモーテンセン。「アラトリステ」はスペインの同名人気小説の映画化。歴史的事実や実在の人物の中に、モーテンセン演じる架空の戦士“アラトリステ”が登場。スペインの黄金時代を、アラトリステの波乱の人生を通して描く叙事詩だ。
スペイン映画史上最高の製作費、全編スペイン語で描かれる作品だ。デンマーク人の父、米国人の母のもとに生まれ、幼いころにベネズエラ、アルゼンチンなど南米に住んだ経験があるモーテンセン。英語、フランス語、スペイン語、デンマーク語、スウェーデン語、ノルウェー語に堪能な語学の達人でもある。スペイン語での演技について「それほど難しくなかった。英語よりスペイン語の方が、楽に感情表現できる場合もある。17世紀に使われた古い言葉について学び、登場人物の出身地域を考えるなど、下準備して撮影に臨んだ」と話した。
スペインでの撮影については、「アラトリステ」の原作者、アルトゥーロ・ペレス=レベルテの言葉を引き「スペインは多くの国と言葉を持つ土地」と説明。スーツの胸に着けたバッヂを示し、「撮影で訪れた(スペイン北東部の)レオン(地方)が印象に残った。人々はタフで、ユーモアがとてもドライ。レベルテに『アラトリステはレオン出身と思って演じる』と話した。このバッヂはレオンの紋章なんだ」と語った。
俳優業のかたわら、絵画や詩を創作するなど多彩な活動で知られるモーテンセン。スペインを代表する画家・ベラスケスの作品について「『アラトリステ』に出演したことで、絵の見方が変わった。絵の中に入り込み、自分自身を探すようになった。俳優として興奮する体験だ」とも話した。
「アラトリステ」では「ロード・オブ・ザ・リング」に続き、息子のヘンリー・モーテンセンと共演している。「映画の中のアラトリステ同様、息子から教わることが多くなった」と目を細め、「とてもいい関係が築けている」と笑顔に。父子そろっての日本好き。日本語も理解している様子で「息子の方が日本語が上手で、読み書きもできる。今回来る時“剣術”の本を渡され、機内で読むよう言われたよ」と話し、父親らしい表情を見せた。
来年はスペインでの舞台出演も予定。「大きな挑戦だ。舞台は休憩がなく、やり直しもきかない(笑)。大きなプレッシャーになるが、いい経験になると思う」と意欲を見せた。
(文・写真 遠海安)
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「アラトリステ」(2006年、スペイン)
監督:アグスティン・ディアス・ヤネス
出演:ヴィゴ・モーテンセン、エドゥアルド・ノリエガ、ウナクス・ウガルデ、ハビエル・カマラ、アリアドナ・ヒル、エレナ・アナヤ
12月13日、日比谷・シャンテシネほかで全国順次公開。
写真1:「アラトリステ」の主演俳優、ヴィゴ・モーテンセン。全編スペイン語の演技も「難しくはなかった」=東京・千代田区で12月1日
写真2:「ロード・オブ・ザ・リング」の勇者・アラゴルン役で人気上昇。デビッド・クローネンバーグ監督作品などでも渋い演技を見せる=同
写真3:スーツの下をちらり。「大ファン」というアルゼンチンのサッカー・チーム、サン・ロレンソのユニフォーム=同



