2008年11月29日

「007慰めの報酬」 人間くささが魅力 “クレイグ版ボンド”

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 ジェームズ・ボンドのシリーズも、「慰めの報酬」で22作目となった。原作者のイアン・フレミングは、とうの昔に故人となっている。にもかかわらず、一人の主人公で物語が50年も続いている。映画界でも前代未聞だ。

 英秘密情報部に属するボンドは、不死身でハンサムなスパイだ。教養があり、ユーモアのセンスは一流。最新兵器を駆使し、女王陛下のため悪と戦う。世界中を駆け巡り、世界中の美女を渡り歩く。

 ショーン・コネリーの匂い立つ男くささ。ロジャー・ムーアの華麗でゴージャスな姿。ピアース・ブロスナンの優雅でオシャレな立ち居振る舞い。それぞれのボンドには、それぞれの良さがあった。新作「慰めの報酬」では、新しい点が二つ。一つは主題歌がデュエットになったこと。もう一つは、一話完結ではなく、前作「カジノ・ロワイヤル」の続編であることだ。

 ダニエル・クレイグのボンドは、今までとちょっと違う。恋などに溺れないはずが一人の女にほれてしまい、エージェントの仕事から足を洗う決意をする。女に裏切られてからは、夜も眠れない。いつものドライ・マティーニを何杯重ねても、酔うことができない。男として弱点を持った、極めて人間的なボンドだ。

 いたずら小僧というか、やんちゃ坊主のようなクレイグの顔がいい。短距離走者のように、逃げる敵を真剣な顔で追う姿もいい。親友を失うような悲しいことがあった時、唇をキュッと引き締めるが、目の表情は変わらない。クレイグのボンドには、母性本能を刺激するところがあるかもしれない。完璧な男、スーパー・ヒーローにしては、かわいいのだ。

 ただし、逆にないものは、ユーモアとウィット。失意のどん底だから仕方ないかもしれないが、ロマンスもない。最新ファッションの“ボンドガール”が、次々出てくることもない。ヒロインのカミーユは、失意のボンドにほれはしない。

 連続アクション、繰り返される派手なカーチェイス。よじ登り、飛び降り ガラスを割り、爆破する。ハイチ、イタリア、オーストリア、ボリビア、ロシアと、めまぐるしく移動し、バイク、車、ボートを操縦。挙げ句の果てに、パラシュートなしで飛行機から飛び降りる。大変なやんちゃぶりだ。

 さて、ボスに「帰ってきて」と懇願されたのに、潔く立ち去ってしまったボンド。このまま失業してしまうのかしら?

(文・TaylorAkiko)

×××××

「007 慰めの報酬」(2008年、英・米)

監督:マーク・フォースター
出演:ダニエル・クレイグ、オルガ・キュリレンコ、・マチュー・アマルリック、ジャンカルロ・ジャンニーニ、ジェフリー・ライト、ジェマ・アータートン、ジュディ・デンチ
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

2009年1月24日、丸の内ルーブルほかで全国公開。

作品写真:(C) Quantum of Solace 2008 Danjaq, LLC, United Artists Corporation, Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
posted by 映画の森 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 英国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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