
「第15回大阪ヨーロッパ映画祭」(11月1日〜12月5日)の日本初上映作品がこのほど決まった。今年は14年ぶりにロシア作品が上映されるなど、同映画祭ならではの視点で選ばれた名編が並ぶ。今回名誉委員長を務めるモーリス・ジャール氏にちなみ、同氏が音楽を担当した「アラビアのロレンス」(デビッド・リーン監督)のニュープリント上映も予定されている。
同映画祭でいち早く上映された作品は、後の劇場ロードショーでも話題を呼んでいる。映画祭がヨーロッパ映画の紹介にとどまらず、各国の民衆の生き様や社会背景を伝えるメディア性を発揮する舞台となってきた。今回も各国の様子を映画を通して知る機会となるだろう。
「モードの花道」(07・ロシア、アンドレイ・コンチャロフスキー監督)は新しいロシアのモード界に挑む女性を描いている。南ロシアの町の縫製工場で働く主人公が、スーパーモデルになることを夢見てモスクワに乗り込む。ロシアのモード界は果たして彼女を受け入れるのか──。同映画祭でのロシア作品の上映は14年ぶり。“ロシアの巨匠”と評価の高いコンチャロフスキー監督も来日予定だ。
07年カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞した「ジョジーの修理工場」(07・アイルランド、レナド・エイブラハムソン監督)はアイルランドの片田舎が舞台。修理工場で管理人を務める男性と、アルバイトに来た15歳の少年との交流を軸に、一人の男性の人生を描く。たったひと夏のできごとが人生にどんな変化をもたらすのかが興味深い。脚本を手がけたマーク・オハローラン氏の来日が予定されている。
このほかファシズムの危うさに焦点を当てた「ザ・ウェーヴ」(08・ドイツ、デニス・ガンゼル監督)、オンラインゲームと現実を行き来する若者が主人公の「ハンドルネームはベンX」(07・ベルギー・オランダ、ニック・バルタザール監督)、ゴヤ賞7部門を受賞した「永遠のこどもたち」(07・スペイン・メキシコ、ファン・アントニオ・バヨナ監督)など計10作品が披露される(新作はいずれも仮題)。
「アラビアのロレンス」(62・イギリス)は11月21日に上映される。モーリス・ジャール氏とデビッド・リーン監督にスポットを当てたドキュメンタリー「モーリス・ジャールの軌跡」も同時上映される。上映後にはジャール氏を交えたディスカッションとサイン会も開かれる予定だ。最新映画の上映期間は11月21〜24日、会場は大阪市北区中之島のリサイタルホール。
(文・山本ケイ)