2008年10月08日

釜山国際映画祭の挑戦 ネットワークと人材育成

手をつなぐアジアの俳優 映像機関の提携も

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 釜山国際映画祭はここ数年、映画の上映にとどまらず、映像産業の国際ネットワーク作りやクリエーターの養成、マーケットの拡大にも力を入れている。

 国際ネットワークの一つが、去年発足した「アジア太平洋アクターズ・ネットワーク(APAN)」。今年のシンポジウムにはアジア各国の俳優とハリウッドで活躍する韓国系俳優、映画関係者らが参加した。韓国を代表する俳優、アン・ソンギとカン・スヨンが司会を務め、参加者がハリウッドなど他国の映画に出演した事例を報告。日本、中国、ポーランドなど外国映画への出演が多いアン・ソンギは、日本映画「眠る男」(96、小栗康平監督)で役所広司と共演したことに触れ「思い出深い。スタッフにも俳優にも新たな経験となった」と振り返った。

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 日本からは上野樹里が出席。国際合作映画への出演について聞かれ、「言葉の問題もあって一度も考えたことはなかったが、機会があって必要とされる役があるなら出てみたい。その機会に言葉も勉強したい」と答えていた。

 もう一つの国際ネットワークが映像関連機関の提携だ。釜山市は4日、札幌市と映像産業交流の覚書(MOU)を締結した。両市はこれまでも、環境問題をテーマにした短編映画を双方の若手監督が競作するなど、共同で映像プロジェクトを行ってきた。今後は共同制作やセミナー、人材交流などを進めていく。

 釜山は早くから、民間の映像委員会(フィルムコミッション)が市のバックアップを受けてロケ支援や人材育成を進めてきた。アジアの“先進映像都市”である釜山のさまざまな取り組みと成功例は、日本の自治体にも学ぶべきところが多い。
 
 また今回は、韓国の若手制作者の優れた企画に制作費を支援するプロジェクトの授賞式も行われた。コンテンツ産業の発展は優秀なクリエーターなしには成り立たないと、国をあげて人材を養成している韓国の一つの挑戦だ。

 一方、映画祭が開幕した10月2日には「釜山映像センター」の着工式が行われた。同センターは映画祭のメーン会場となるほか、映像制作センターの役割も果たす。完成は2011年の予定。同年から映画祭のオープニング会場と専用上映館に使われる。

(文・写真 芳賀恵)

写真1:「アジア太平洋アクターズ・ネットワーク会議」に顔をそろえた俳優たち=釜山で10月3日
写真2:(左から)日本の上野樹里と韓国のアン・ソンギ=同
写真3:映像関連機関提携の覚書を交わす釜山市(左)と札幌市の代表=釜山で10月4日
posted by 映画の森 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 釜山国際映画祭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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