ニューヨークでつつましく暮らす若い夫婦、ホリー(ヒラリー・スワンク)とジェリー(ジェラルド・バトラー)。アイルランドで出会い結ばれた二人。日常のささいなできごとでぶつかり合って仲直り。互いの肌の温もりに、安らぎを感じて眠りにつく。そんな愛に満ちた生活を送っていた。
ところが二人に、突然悲劇が訪れる、ジェリーが脳腫瘍でこの世を去ってしまったのだ。最愛の人を亡くして3週間。抜け殻のように自分を見失い、変わり果てたホリーに、周囲の人々はあ然とする。そこへ、ジェリーから誕生日プレゼントとメッセージ・テープが届く。それは、ホリーの悲しみを予測したジェリーからのメッセージだった。
「すごい計画を立てた。これからいろんな方法で僕から手紙が届く。手紙の内容に従えよ。いいね? まだ、さよならは言えないんだ」
翌日以降、ホリーや周りの人たちへ、ジェリーの手紙が届き始める。妻が新しい人生を踏み出せるよう、夫が用意した最後のプレゼント。手紙に導かれ、ホリーは少しずつ自分を取り戻していく。
冒頭の二人の夫婦げんかのシーン。感情をぶつけ合ってはいるが、傷付け合うわけではない。居心地のいい、信頼し合う夫婦の日常だ。互いの存在の重さ、親密さが表れている。それだけに、失った時の喪失感、悲しみの深さが際立つ。悲しみに打ちひしがれたホリーと、旅立っていったジェリー。愛する人を亡くした悲しみだけでなく、愛する人を残して旅立つ思いも描く。死んでしまっても深く結ばれた夫婦の絆。自分への愛にしばられず、ホリーが新しい一歩を踏み出せますように。ジェリーの手紙に添えられた言葉、「P.S.永遠に愛している」
(文・岩渕弘美)
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「P.S.アイラヴユー」(2008年、米国)
監督:リチャード・ラグラヴェネーズ
出演:ヒラリー・スワンク、ジェラルド・バトラー、キャシー・ベイツ
10月18日、有楽座ほかで全国公開。
作品写真:(c)2007 CUPID DISTRIBUTION LLC. ALL RIGHTS RESERVED.



