2010年10月26日

「黒く濁る村」 父はなぜ死んだ 真相追う男 迫る深い闇

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 韓国で人気のウェブ・コミックを原作にした映画「黒く濁る村」。「公共の敵」シリーズや「シルミド SILMIDO」(03)で知られるヒットメーカーのカン・ウソク監督最新作だ。父の死の疑惑を解明しようとする一人の男が、絶対の権力を持つ村長やいわくありげな村の住民と対峙(たいじ)するミステリー。カン監督が過去の作品で見せた、理性よりも感情のおもむくまま、愚直に突っ走る男たちの姿が生きている。

 ユ・ヘグク(パク・ヘイル)は、20年間も音信不通だった父の訃報を受け、小さな村を訪れる。山間の静かな村で、スーツ姿のヘグクは明らかに異邦人だ。自宅で突然亡くなったというのに検死もしない村の警察や、よそ者への警戒心をむきだしにする村人たちの態度に、ヘグクは違和感を覚える。すべてを仕切るチョン・ヨンドク村長(チョン・ジェヨン)の存在感もどこか不気味だ。葬儀後も村にとどまり、父の空白の数十年間と死因を明らかにする決意をしたヘグクだが、その身には底知れぬ暗闇がしのび寄ってくる――。

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 物語が進むにつれて、村長と村人たち、ヘグクの父の関係が次第に浮かび上がる。映画の原題でもある“苔”のようにひっそりと生きる人たちの村でヘグクが試みたのは、素手で苔をむしり取る行為だ。危ういバランスを保つ村の平穏を壊そうとするよそ者に、命の危機が迫る。

 2時間41分の長尺だが、次々にたたみかけるエピソードと緊張感あふれる演技がラストシーンまで観客を引っ張り、長さを感じさせない。提起される謎(なぞ)の中には最後まで解き明かされないものもあり物足りなさが残るが、それを補ってあまりあるのは息詰まる展開だ。

 コメディーの要素を重視するカン監督だけに、笑いのツボもしっかり用意している。登場するたびに微笑を誘うのはパク・ミヌク検事(ユ・ジュンサン)。熱血漢のエリート、パク検事は“天敵”ヘグクの行動に否応なしにかかわり、結果的に村の暗部を暴くことになる重要な役どころだ。2000年代前半までテレビ俳優のイメージが強かったユ・ジュンサンはここ数年、スクリーンでも活躍中。「黒く濁る村」では“絵に描いたような”正義感あふれるエリートを、実にマンガチックに演じている。

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 物語は30年前と現在を行き来するため、特殊メイクも見どころだ。40歳のチョン・ジェヨンは七十代の村長に変身。毎回3時間かけて特殊メイクをほどこしたという。

 スマートな外見とは裏腹に、父の死因究明に執ような熱意をみせる主人公・ヘグク。原作者のユン・テホが、パク・ヘイルの過去の映画を見てキャラクターを生み出したというだけあり、他のキャストは考えられないほどのはまり役だ。

 パク・ヘイルは韓国での公開時、インタビューで「素晴らしい先輩たちとの共演で緊張した」と話している。“先輩たち”とは、チョン・ジェヨンをはじめ、村人を演じた3人の名脇役(ユ・ヘジン、キム・サンホ、キム・ジュンベ)。いずれもスクリーンや舞台でよく知られた演技派であり、彼らの鬼気迫る演技がドラマにリアリティーを与えたといっても過言ではないだろう。

(文・芳賀恵)

「黒く濁る村」(2010年、韓国)
監督:カン・ウソク
出演:パク・ヘイル、チョン・ジェヨン、ユ・ジュンサン、ユソン

11月20日、丸の内TOEI、シネマスクエアとうきゅうほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://kurokunigorumura.com/

作品写真:(c)2010 CJ Entertainment Inc. All Rights Reserved
posted by 映画の森 at 19:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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