2010年11月03日

第23回東京国際映画祭「黒く濁る村」 パク・ヘイル×カン・ウソク監督が舞台あいさつ

閉鎖的な村舞台に 殺人事件めぐる攻防 2時間41分のサスペンス

「黒く濁る村」パク・ヘイル(右)とカン・ウソク監督.jpg

 11月20日公開の韓国映画「黒く濁る村」が第23回東京国際映画祭で上映され、主演のパク・ヘイル、カン・ウソク監督が10月29日、東京・六本木で舞台あいさつした。

 カン・ウソク監督は「日本の皆さんにあいさつするのは、『シルミド SILMIDO』以来6年ぶり。私にとって17本目で、今までで一番苦労した作品」と話した。続いてパク・ヘイルが「こんにちは、パク・ヘイルです」と日本語であいさつ。「東京国際映画祭で上映されてとてもいい気分。初めてこの映画を日本に紹介することに、とても興奮し、緊張している」と語った。

「黒く濁る村」パク・ヘイル(右)とカン・ウソク監督2.jpg

カン・ウソク監督「原作は立体的。人物も映画的だった」
 「黒く濁る村」は、韓国でヒットしたウェブ漫画が原作。閉鎖的な寒村で起きた殺人事件をめぐり、真相に迫る男と村人たちの攻防を描くサスペンスだ。「シルミド SILMIDO」(03)、「公共の敵」シリーズなどヒットを飛ばしてきたカン・ウソク監督。初めての漫画の映画化に「原作は非常に立体的な印象で、絵もとてもよく、登場人物も映画的だった」と述べた。また、漫画の原作者が「彼以外に演じる俳優はいない」と太鼓判を押したパク・ヘイル。「原作は以前に読んでいた。映画化の話を聞いた矢先、監督から直接出演依頼があった。監督は韓国で多くの観客を動員し、大衆と心通わせる人として知られている。出演しない理由はなかった。だが『たくさんの人に観られるのか』と思うと、プレッシャーも感じた」と話した。

黒く濁る村.jpg

 撮影では約2万坪の敷地に、舞台の村をまるごと再現。家屋から木々、畑に植えられた作物まで、細部にこだわりセットを作り上げた。村長を演じた40歳のチョン・ジェヨンは、特殊メイクで七十代の老人に変身。監督得意の骨太な演出も冴え、2時間41分の長さを感じさせない。カン・ウソク監督は「適度に恐怖を散りばめた。ドキッと驚かせるのではなく、明るく動きもない画面で、恐怖を感じさせるのが大変だった。緊張感を持たせることに力を入れ、長く感じさせないよう編集するのも大変だった。私にとって『1時間30分くらいに感じた』が最大のほめ言葉。ゲームを楽しむように観てもらえたらうれしい」と話した。

パク・ヘイル「村を知らない青年役。対決場面は集中し、緊張した」 
 さらに、パク・ヘイルのほか、チョン・ジェヨン、ホ・ジュノ、ユ・ヘジンら実力派俳優の演技合戦も見どころだ。パク・ヘイルは「今まで共演したことのない人ばかり。演劇出身の人、映画で今一番活躍している人など、個性的な俳優たちと仕事ができて、本当にうれしかった。監督がそれぞれに合った配役をしてくれたので、気持ちよく撮影できた」と振り返った。閉鎖的な共同体に飛び込み、平穏な空気を乱す“よそ者”役について「村について何も知らない青年。役の雰囲気を出すのが大変だった。村人一人ひとりと対決するシーンもあり、そのたび集中し、緊張しなければならなかった」と苦労も語った。

「黒く濁る村」パク・ヘイル.jpg

 また、韓国最高の映画賞「大鐘賞」で、パク・ヘイルとチョン・ジェヨンがそろって主演男優賞候補となったことについて、カン・ウソク監督は「パク・ヘイルさんは演技力が及ばす(受賞は)難しいのでは」と、冗談交じりに厳しい評価。パク・ヘイルは苦笑しつつ、「これからも一生懸命頑張ります」と話し、会場の笑いを誘っていた。 

(文・写真 岩渕弘美)

「黒く濁る村」(2010年、韓国)
監督:カン・ウソク
出演:パク・ヘイル、チョン・ジェヨン、ユ・ジュンサン、ユソン

11月20日、丸の内TOEI、シネマスクエアとうきゅうほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://kurokunigorumura.com/

写真1・2:第23回東京国際映画祭で舞台あいさつした「黒く濁る村」の主演のパク・ヘイル(右)とカン・ウソク監督=いずれも東京・六本木で10月29日
写真3:「役の雰囲気を出すのが大変だった」と話したパク・ヘイル
作品写真:(c)2010 CJ Entertainment Inc. All Rights Reserved
posted by 映画の森 at 00:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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