2012年02月16日

「TIME/タイム」 時間が支配する近未来 決死の逃避行

TIME/タイム.jpg

 現代社会にどこか似た近未来。唯一の通貨は“時間”だった。人間の体内時計が、25歳になった瞬間から余命を刻み始める。“スラムゾーン”の人々の余命は23時間。“富裕ゾーン”の住人は永遠の命を持つ。二つの世界には境界線の「タイムゾーン」があり、行き来は禁止されていた。殺人容疑をかけられた青年ウィル(ジャスティン・ティンバーレイク)はスラムに別れを告げ、境界を越え富裕ゾーンに入り込み、大富豪ワイスの娘シルビア(アマンダ・セイフライド)に出会う──。監督は近未来SF「ガタカ」(97)で長編デビューしたアンドリュー・ニコルだ。

TIME/タイム2.jpg

 時間に支配された近未来。科学技術で人間は老化しなくなり、人々の左腕に埋め込まれた体内時計「ボディクロック」が、25歳で起動し時間を刻んでいく。スラムゾーンで暮らす人々は時間を稼ぐため、日雇いの報酬で1日をなんとか生き延びる。逆に富裕ゾーンの人々は暇を持て余し、豪華な衣装を着てカジノやパーティーで時間を浪費する。富裕層ワイス一族の祖母、母、孫娘の三世代美女が一堂に会するシーンはシニカルである。

 「人間の成長が25歳でストップする」設定こそ斬新だが、描かれる物語はオーソドックス。主人公を突き動かす理由は、母親の死に対する復讐だ。一方、すべての人間を監視する“時間監視局員”が、富裕男性殺人事件の犯人をウィルと断定する。容疑をかけられたウィルと彼を執拗に追う時間監視局員。ハリソン・フォード主演で映画化された「逃亡者」(93)のようだ。しかし、時間監視局員にはウィルを追う本当の理由があった。

TIME/タイム3.jpg TIME/タイム4.jpg

 ウィルの人質となったシルビアまで、彼の行動に同調し復讐に加担するのがポイントだ。シルビアの行動は、人質が犯人と一緒にいるうち同調し助けてしまう“ストックホルム症候群”そのものである。スラムゾーンの人々を救うため、時間銀行強盗を行い、指名手配されながら逃亡する二人。まるで“近未来版ボニーとクライド”である。

 ニコル監督のデビュー作「ガタカ」は、遺伝子操作で優れた人間として生まれた「適正者」と、遺伝子に欠陥を持ち自然分娩で生まれた「不適正者」が、二極化された近未来を舞台に運命を切り開く物語だった。今回も富裕層と貧民層が二極化した近未来で、将来を模索する主人公が描かれる。監督の得意な設定を生かしつつ、動きあるアクション・エンターテインメントに徹したのがポイントだろう。

(文・藤枝正稔)

「TIME/タイム」(2011年、米国)

監督:アンドリュー・ニコル
出演:ジャスティン・ティンバーレイク、アマンダ・セイフライド、キリアン・マーフィ、オリヴィア・ワイルド、マット・ボマー、アレックス・ペティファー

2月17日、TOHOシネマズ 日劇ほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://www.foxmovies.jp/time/information/trailer.html

作品写真:(c) 2011 TWENTIETH CENTURY FOX
posted by 映画の森 at 15:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | 米国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。