2012年04月28日

「REC レック3ジェネシス」 シリーズ3作目、愛をテーマに

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 コルドとクララの結婚式当日。皆に祝福されてなごやかに進行していた披露宴は、コルドの叔父が突如醜悪な姿に変わり、参列者を襲撃し始めたことで一変する。襲われた人間もおぞましい「感染者」となり、会場は阿鼻叫喚の地獄絵と化した。混乱の中、離ればなれとなった二人だが、互いの生存を信じて必死に探し出そうとする。しかし、迫りくるのは変わり果てた姿の家族や親族、友人たち。彼らにどう立ち向かえばいいのか──。「REC」シリーズはこれまで、ジャウマ・バラゲロとパコ・プラサが共同監督してきた。今回はパコ・プラサが単独監督。ジャウマ・バラゲロはクリエイティブ・プロデューサーとなっている。

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 スペイン発のホラー映画「REC」シリーズ。P.O.V.(ポイント・オブ・ビュー、一人称視点)で撮られた作品だ。1作目「REC レック」は、バルセロナのアパートを舞台に、謎のウイルスが蔓延した密室で起こる惨劇を、消防隊を密着取材するTVクルーの視点で描いた。2作目「REC レック2」は同じアパートを舞台に、事件現場に突入したSWAT部隊のヘルメットに着けたカメラと、騒ぎを聞きつけアパートに忍び込んだ若者のビデオカメラの映像を使った。1作目の恐怖とショックを倍増させつつ、オカルト的解釈を盛り込んだ。

 3作目となる本作は、1作目とほぼ同時刻の別の場所が舞台。「病院で犬にかまれた」とぼやく叔父が感染元となり、披露宴は惨劇の場となる。犬は1作目のアパートで暮らす少女が飼っていた感染元の犬らしい。冒頭は参列者が撮影したビデオ映像で、登場人物や状況が長々と見せられる。知らない人のホームビデオを延々と見せられているようでまったく面白味はない。一方、今回は素人カメラマンの参列者とは別に、移動のブレを抑える“ステディカム”カメラを使うプロも動員され、期待させる。

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 「REC」シリーズは密閉空間で起こる惨劇を、P.O.V.手法で描いた。今回は冒頭こそP.O.V.の形態を保つが、惨劇が始まるとP.O.V.手法は影を潜め、普通に撮影したスプラッター・ホラー映画に成り下がってしまう。舞台も披露宴会場や教会、地下道、庭と広げすぎで緊張感が薄れた。過激すぎるスプラッター描写は、恐怖を取り越して笑いに転化してしまう。

 シリーズに一貫性を貫いた作り手であったが、今回は「愛」をテーマに状況設定を変えた。欲が悪い方向に傾いてしまった感は否めない。期待したステディカムも有効に使われず、拍子抜けである。シリーズの限界を感じる仕上がりに不満は残るが、続編「REC 4 APOCALIPSIS」に期待する。

(文・藤枝正稔)

「REC レック3ジェネシス」(2012年、スペイン)

監督:パコ・プラサ
出演ト:ディエゴ・マルティム、レティシア・ドレラ

4月28日、シネマスクエアとうきゅう、ヒューマントラストシネマほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://www.rec3.jp/

作品写真:(C)2011 REC GENESIS A.I.E
posted by 映画の森 at 08:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | スペイン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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