台湾の大都市、ハーバー・シティの南署特捜課のウー・インション(マーク・チャオ)は、正義感の強い新米刑事だ。現金輸送車強奪事件を解決するものの、行き過ぎた行動で停職処分を食らう。一方、犯罪組織・三連会の構成員シュー・ダーフー(ホァン・ポー)は、ダイヤモンド密売で一攫千金をもくろんだが、謎の武装集団が取引現場を急襲。ダイヤが入ったアタッシュケースに、大量破壊兵器の秘密が隠されていたのだ。一方、ある殺人事件を追い現場に来たインションはダーフーを救出。裏にある真実を探り出そうとする──。
2009年度、台湾で視聴率1位を記録したアクションドラマ「ブラック&ホワイト」。プレイボーイと熱血刑事、相性最悪のコンビがを捜査に突き進む姿を、アクション満載で描いた。映画ではドラマ版で熱血刑事を演じたマーク・チャオが再びインションを演じ、相棒には中国の人気コメディアンで俳優のホァン・ポーが抜擢。舞台はドラマ版の3年前のハーバー・シティ。サブタイトルに「Black & White Episode 1」が付けられた 。監督はテレビ版を大ヒットに導いたツァイ・ユエシュン。今回が劇場映画デビューとなる。
総製作費3億8000万台湾ドル(約10億円)の大作だけに、ド派手なアクションで幕を開ける。強奪された現金輸送車を追うインションは、先回りして交差する橋の上からダイブ。輸送車の屋根に飛び降りる。ワイヤーアクションをマーク・チャオがノースタントで演じる。犯人と格闘の末、天井から振り落とされ、車の前に落ちたインション。タイヤを打ち抜かれ横転した輸送車がインションの頭上をすり抜けて大爆発。派手なアクションの流れに、作り手のサービス精神を感じてニヤリとしてしまう。
新米刑事がソリの合わない容疑者と力を合わせ、事件を解決する設定は、連行中の参考人と犯罪組織に立ち向かう刑事を描いた「ダイ・ハード4.0」に似ている。主人公のワンマンプレーぶりはまさに、「ダイ・ハード」でブルース・ウィリスが演じた主人公ジョン・マクレーンを彷彿させる。危険を顧みず無鉄砲で、捜査本部より一歩先を動く。危ない現場に自ら飛び込み、事件を解決に導く姿は痛快だ。
ポイントは熱血刑事とお調子者のチンピラが、武装集団の爆弾テロ計画を阻止すること。事件の点から線をたどるうち、本丸にたどり着く二人がスリリングかつ、ダイナミックなアクションで描かれる。インションとダーフーが手錠でつながれたまま悪役と戦ううち、駆けつけた情報局員(SIS)を巻き込む銃撃戦に発展。見せるアクション、ユーモラスな動きを最大限に生かしたシーンだ。アクション監督は「ダイ・ハード4.0」に悪役で出演したほか、多くのリュック・ベッソン作品でスタントを設計し、「アルティメット」シリーズで主役を演じたシリル・ラファエリ。「新少林寺 SHAOLIN」でアクション監督を務めたリー・チュンチーと共に、新次元の台湾アクション映画を作り出した。
ハーバー・シティ爆破テロのタイムリミットは36時間。ダーフーを追う三連会の殺し屋、大量破壊兵器の秘密が隠されたケースをめぐって情報局も乗り出し、事件の鍵を握る美女ファン・ニン(アンジェラベイビー)も出現。謎と危険が渦巻く中、インションとダーフーは犯人の行方を追う。ハリウッド映画を意識した大型アクションは、車やヘリコプターのチェイスでは足りず、武装集団はジャンボ機をハイジャック。爆破テロを強行しようとする。そこにインションとダーフーも乗り合わせ、ハーバー・シティの運命は二人の手に委ねられる。
「48時間」、「リーサル・ウェポン」、「ラッシュアワー」など、ハリウッドでヒットした“バディ映画”のアイデアをうまく取り込み、アクション満載に仕上げた痛快な作品。しかしオリジナル版が150分以上あるのに対し、日本公開版は128分。短縮されたせいか展開が駆け足となり、ダイジェスト版のような仕上がりになってしまったのが残念だ。
(文・藤枝正稔)
「ハーバー・クライシス 湾岸危機 Black & White Episode 1」(2012年、台湾)
監督:ツァイ・ユエシュン
出演:マーク・チャオ、ホアン・ボー、アンジェラベイビー、テリー・クァン、アレックス・トー
9月8日、全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。
http://www.bw-movie.jp/
作品写真:(C)2012 Hero Pictures Corporation Limited. ALL RIGHTS RESERVED.



