
1月19日公開の山田洋次監督新作「東京家族」の完成披露試写会がこのほど東京・丸の内で行われ、山田監督、出演の橋爪功、吉行和子、西村雅彦、妻夫木聡、夏川結衣、中嶋朋子、林家正蔵、蒼井優が勢ぞろいした。山田監督は「ようやくこの日が来た。(出演者は)本当に素敵な“家族”。全員が主役で素敵なアンサンブルを演じてくれた」と語った。
「東京家族」は山田監督の監督50周年記念作品。東京で久々に再会した家族の絆、別れ、希望を描き、小津安二郎監督「東京物語」へオマージュを捧げている。山田監督は「クランクインが迫った(一昨年)3月11日に大災害が起きた。やっと完成し、ようやくこの日が来た。気に入ってもらえたらいいな、と心から思う」と感慨深げに話した。


過去に共演も多く夫婦のような雰囲気の橋爪と吉行など、監督を中心に本当の家族が集まったよう。監督は「ムードを皆が作ってくれた。本当に素敵な“家族”だった。全員が主役で素敵なアンサンブルを演じてくれた」と満足気だった。
主人公の平山周吉を演じた橋爪功は「監督は『寅さん(男はつらいよ)の最初もお客さんが入るかな、笑ってもらえるかなと思った』と話していた。作った側はどきどきしている。皆さんの満足した顔を拝見したい」と語った。妻役の吉行和子は「家族についてもう一度考える機会を与えてもらった。長く女優をやってよかった、と改めて思った」と話した。

周吉の次男・昌次役の妻夫木聡は「山田監督の作品に出られてうれしい。一つ一つの演出に愛情が感じられた。早く親にも見せたい気持ちになった。多くの人に思いが伝わり、幸せの連鎖が起これば」と話した。昌次の恋人役の蒼井優は「日本人が大切にしてきた心が映されている。実家に帰ったような、ほっとした気持ちになれる作品」と語った。

また、黒澤明監督、新藤兼人監督に次ぎ、昨年映画監督で3人目の文化勲章を受章した山田監督は「(受章は)かなり驚いたが、映画界を代表する気持ちで受けた。今、日本の映画界は厳しい状態。もっと頑張らなければいけないし、国もサポートしなければ。それを強調するためにもうれしい受賞だった」と話し、出演者から温かい祝福を受けた。
(文・写真 岩渕弘美)
「東京家族」(2012年、日本)
監督:山田洋次
出演:橋爪功、吉行和子、西村雅彦、夏川結衣、中嶋朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優
1月19日、全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。
http://www.tokyo-kazoku.jp/
作品写真:(C)2013「東京家族」製作委員会
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