2013年04月18日

「孤独な天使たち」 ベルトルッチ9年ぶり新作 異母姉弟、7日間の密室生活

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 主人公のロレンツォは孤独癖が強く、集団行動が苦手な思春期の14歳。母親の干渉をうるさがる一方で「もしこの世が滅びて、ママと僕の2人きりになったらどうする? 子供も残さなければいけないね……」なんて甘えてみたりもする。どうにも扱いにくい少年だ。そんなロレンツォが「学校のスキー合宿に参加する」と言い出した。やっと息子がまともになったと、母親は喜ぶ。

 しかし、合宿参加と言ったのは、母親の目を欺くための偽装だった。ロレンツォが計画していたのは、自宅のあるアパルトマンの地下室にこもり、心ゆくまで孤独を楽しむこと。食べ物や本、そしてガラスケース製の“蟻の巣”など、お気に入りのアイテムを持ち込み、誰にも邪魔されず、自分だけの時間を満喫しようというわけだ。

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 ところが至福のひとときは、たちまち終止符を打たれる。突然、異母姉のオリヴィアが現れたのだ。久々の再会だった。「私物を取りにきた」というオリヴィアはいったん出て行くが、すぐに戻ってくると、「行き場がない」とそのまま居ついてしまう。こうして異母姉弟2人きりの奇妙な“合宿生活”が始まった。

 ベルナルド・ベルトルッチ監督、9年ぶりの新作「孤独な天使たち」。異母姉弟が、地下空間で、誰にも知られず1週間を過ごす。何とも好奇心を刺激する設定だ。自閉症気味なロレンツォに対し、オリヴィアはドラッグ中毒で、“ヤク断ち”の最中。それぞれに問題を抱えている。そんな姉と弟が、寝食をともにしながら内面をさらけ出し、殻を破っていく。

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 半分だけ血のつながった姉と弟。そこはかとなく背徳の匂いが漂う。何かが起きても不思議ではない。一触即発の緊張感を保ったまま、“合宿”はやがて最終日を迎える――。

 病気で長期休養を余儀なくされていたベルトルッチ監督。一時は引退も覚悟したそうだが、車椅子での生活を受け入れ、監督復帰。座ったままでの撮影という制約を逆手にとって、創造性あふれる密室劇を作り上げた。

(文・沢宮亘理)

「孤独な天使たち」(2012年、イタリア)

監督:ベルナルド・ベルトルッチ
出演:ヤコポ・オルモ・アンティノーリ、テア・ファルコ、ソニア・ベルガマスコ、ヴェロニカ・ラザール

2013年4月20日、シネスイッチ銀座ほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://kodoku-tenshi.com/

作品写真:(c)2012 Fiction – Wildside
タグ:レビュー
posted by 映画の森 at 09:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | イタリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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