2014年02月11日

「17歳」 性に揺れる少女の心、パリの移ろいとともに フランソワ・オゾン監督最新作

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 性に揺れる少女の心理を、季節の移り変わりとともに描く「17歳」。フランス映画「8人の女たち」(02)、「スイミング・プール」(03)のフランソワ・オゾン監督最新作だ。

 夏の海辺。陽光あふれる砂浜に、水着姿のイザベル(マリーヌ・バクト)が長々と寝そべっている。医師の母(ジェラルディン・ペラス)、母の再婚相手(フレデリック・ピエロ)、弟(ファンタン・ラバ)と過ごす夏休み。イザベルはドイツ人青年と出会い、初体験を済ませる。やがて夏が終わり、イザベルは彼に別れも告げずパリに戻った。

 秋のパリ。小ぎれいなホテルのドアを、イザベルがノックする。中で待っていたのは初老の男性。二人が「出会った」のはインターネット。イザベルはウェブサイトを開き、連絡してくる不特定多数の男たちと会っている。放課後に帰宅すると、母親の服に着替え、化粧をして出かける。「名前はレア。20歳。大学2年生」と偽り、売春を重ねていた。

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 ある夜、家族と芝居を観に出かけたイザベルは、劇場で見覚えのある初老の男ジョルジュ(ヨハン・レイセン)に会う。彼からメールが届き、イザベルは逢瀬を重ねるようになる。一方で他の男たちと会うこともやめない。

 木枯らしが吹きすさぶ冬。ある日、ジョルジュがベッドの上で心臓発作を起こし、あっけなく死んでしまう。そこから足がつき、警察はイザベルの「裏の顔」を家族に知らせた。取り乱す母。理由を尋ねられても、イザベルは口をつぐんだままだ。そこへある女性から「会いたい」と連絡が入る──。

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 女性の心理を描かせればピカ一のオゾン監督が、心の内をのぞき見るように、揺れと変化を少しずつ暴き出す。イザベルは物質的にも精神的にも、満ち足りているはずの少女だった。名門高校に通い、母親は医師、義父とも良好な関係を築いている。しかし売春をやめない。理由も語らない。その姿は危うくも、初々しくも、愚かにもみえるだろう。タイトルが示す通り、そのまま17歳の若さともいえる。

 イザベルを演じたバクトは、モデル出身の新人女優。長い首と手足、どこか反抗的な眼差し、根拠のない自信と大胆さで、「オゾンの新たなミューズ(女神)」となった。パリの街を漂う姿は、そのまま若い不安と無謀を表している。

 終盤、イザベルはある女性に呼び出される。演じたシャーロット・ランプリングの落ち着きと余裕。無敵に見えた若さが、虚をつかれて崩れ落ちる。オゾンの冷徹な視線が際立つ瞬間だ。

(文・遠海安)

「17歳」(2013年、フランス)

監督:フランソワ・オゾン
出演:マリーヌ・バクト、ジェラルディン・ペラス、フレデリック・ピエロ、ファンタン・ラバ、ヨハン・レイセン

2014年2月15日(土)、新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://www.17-movie.jp/

作品写真:(C)MANDARIN CINEMA - MARS FILMS - FRANCE 2. CINEMA - FOZ
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posted by 映画の森 at 09:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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