2014年06月25日

「GF*BF」トークイベント 台湾民主化と日本との関係 「台湾アイデンティティー」酒井充子監督、作品背景を語る

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 公開中の台湾映画「GF*BF」で、台湾の日本語世代を追ったドキュメンタリー映画「台湾アイデンティティー」の酒井充子監督とキネマ旬報元編集長の植草信和氏が6月23日、東京・六本木でトークイベントに参加した。酒井監督はヤン・ヤーチェ(楊雅[吉吉])監督について「同世代だと直感した。2作目とは思えない」と絶賛した。

 1980年代後半から現在まで台湾激動の30年を、男女3人の愛と友情、葛藤に重ねた作品。劇中描かれる学生運動について、酒井監督は当時の台湾が「(戒厳令が解除され)やっと自由が来て、学生たちが声を上げられるようになった時期」と説明。作品の時代に至る背景を「50〜60年代、共産党のスパイと疑われて拷問を受けたり、無実の罪で処刑された人がたくさんいた」と語った。

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 また、作品に登場する日本語や歌など日本の影響について、酒井監督は「ファッションとしてより、台湾の脈々と続く歴史の中で残っている日本語」と指摘。中国語カバーで歌われた森進一の「港町ブルース」も「台湾で大ヒットした。日本の歌と知らない人が多いそうです」と話した。

 ともにホウ・シャオシェン(侯孝賢)監督の代表作「悲情城市」(89)が台湾との本格的な出合いになっという二人。植草氏は「公開時に初めて台湾へ行き、台湾の空気を吸い、台湾という国を知った」と振り返った。酒井監督は「初めて『悲情城市』を観た時、映画で描かれていることがまったく分からなかった。その後いろいろと台湾映画を観て、一番印象に残っているのはツァイ・ミンリャン(蔡明亮)監督の『愛情萬歳』(94)。台北がとても魅力的に描かれていて、台湾へ行くきっかけをくれた」と語った。

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 さらに、「GF*BF」のヤン監督を「同世代だ」と直感したという酒井監督。「2作目とは思えない。(冒頭の舞台となった)高雄の緑が濃い感じが魅力的に描かれていて、台湾が大好きな私としてはうれしかった」と絶賛していた。

(文・遠海安)

「GF*BF」(2012年、台湾、原題:女朋友。男朋友)

監督:ヤン・ヤーチェ(楊雅[吉吉])
出演:グイ・ルンメイ(桂綸[金美])、ジョセフ・チャン(張孝全)、リディアン・ヴォーン(鳳小岳)

シネマート六本木、シネマート心斎橋ほかで全国順次公開中。

http://www.pm-movie.com/gfbf/

作品写真:(c)2012 Atom Cinema Co.,Ltd., Ocean Deep Films, Central Motion Picture Corporation, Huayi Brothers International Media All Rights Reserved.
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posted by 映画の森 at 12:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | 台湾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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