2014年07月01日

「トランセンデンス」 人工知能が人間超える 科学の進歩の「先」描く

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 人工知能が人間の能力を超える現象=トランセンデンス。「インセプション」(10)、「ダークナイト」シリーズのクリストファー・ノーラン製作総指揮、ジョニー・デップ主演で、科学の進歩の「先」を描く作品だ。

 ウィル(デップ)は天才科学者。妻のエブリン(レベッカ・ホール)とともに、人間の頭脳を超える人工知能を研究していた。しかしある日、大学で講演するウィルを“反テクノロジー”を掲げるテロ集団が襲う。凶弾に倒れたウィルは、弾丸に仕込まれた放射性物質に体をむしばまれ、余命わずかと宣告される。

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 夫に寄り添うエブリンは、夫の頭脳を「移植」することを思い付く。すべての脳内データをコンピューターに移せば、ウィルは電脳空間で永遠に生きられる。肉体が朽ち果てても、意識や記憶、思考は存在し続ける。周囲の反対を押し切り、エブリンは夫を「生かす」べく「移植」を続けた。

 やがて電脳空間に移されたウィルは覚醒。エブリンに「金融市場にアクセスしたい」と言い始める。かつての彼を知る仲間はいぶかるが、エブリンは夫への愛ゆえに言いなりになってしまう。2年後。見渡す限りの荒野に、夫妻は巨大なハイテク施設を建設していた。ウィルの能力は拡大を続け、攻撃の矛先は人間社会に向けられる──。

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 機械を制御していると思っていた人間が、逆に機械に操られ、支配され、攻撃される。SFで繰り返し描かれてきたテーマだが、今回はより具体的に、視覚的にリアルに進化を遂げた。壮大で奇想天外な物語に思えるが、現実は着々と近づいている。たとえば人工知能はすでにプロの将棋棋士に勝利し、自分で車を運転し、クイズ番組で優勝している。「トランセンデンス」の描く未来が、絵空事だと無邪気にいえるだろうか。

 監督はノーラン作品で撮影監督と務めてきたウォーリー・フィスター。ノーラン監督同様こだわり続けてきた35ミリフィルムで撮影した。主役のデップは早々にコンピューター内に「閉じ込められて」しまうが、電脳空間でも変わらぬ存在感を示している。

(文・遠海安)

「トランセンデンス」(2014年、米国)

監督:ウォーリー・フォースター
出演:ジョニー・デップ、モーガン・フリーマン、ポール・ベタニー、レベッカ・ホール、キリアン・マーフィ、ケイト・マーラ

2014年6月28日(土)、全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://transcendence.jp/

作品写真:(C)2014 Alcon Entertainment, LLC. All Rights Reserved. 
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posted by 映画の森 at 09:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | 米国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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