2014年09月06日

「ある優しき殺人者の記録」反社会的暴力 ざんげと輪廻転生 白石晃士監督、異彩放つ衝撃作

aru_main.jpg

 韓国の障害者施設から連続殺人事件の指名手配犯パク・サンジュン(ヨン・ジェウク)が脱走した。「独占取材してくれ」と呼び出された女性ジャーナリストのキム・ソヨン(キム・コッピ)は、日本人カメラマンの田代(白石晃士)とともにインタビューに向かう。廃墟となった密室マンションでの告白。なぜ18人も殺害したのか。サンジュンとソヨンの因縁。新たな惨劇──。

 監督、脚本、撮影の白石晃士は、P.O.V(ポイント・オブ・ビュー=主観映像)を使ったホラー&オカルト系フェイク・ドキュメンタリーの第一人者だ。オリジナルビデオ作品も多く、「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」シリーズが大ヒット。今年劇場版も作られた。純正ホラー映画「テケテケ」(09)、サディスティックな「グロテスク」(09)など作品の幅は広い。

aru_sub2.jpg

 韓国オールロケ撮影の「ある優しき殺人者の記録」。18人の殺人には理由があり、独自理論に基づいていたことが分かってくる。なぜソヨンと田代がサンジュンに指名されたのか。現場にはサンジュンの予告通り、日本人カップルのつかさ(蒼つかさ)と亮太郎(米村亮太朗)も登場。密室での不条理な惨劇に発展する。

 反社会的な殺人を暴力的に描きつつ、ざんげと輪廻転生を裏に忍ばせる。サンジュンとソヨンのつらい記憶もからむ。サンジュンにとって、殺人は崇高な儀式にみえる。マンションには儀式に必要な人たちが集められた。しかし、客観的にはサンジュンは狂った殺人者だ。殺そうとする者と、生きようとする者。葛藤と駆け引きがドラマのポイントとなる。

aru_sub1.jpg

 主観映像で86分ワンカット。男女の愛がエロス、サディズム、緊張感、笑いが同居する中で描かれる。滑稽な演出が冴えわたる。独自の作風で異彩を放つ白石監督が、従来のホラーやオカルトとひと味違うアプローチで繰り出す衝撃的な作品だ。

(文・藤枝正稔)

「ある優しき殺人者の記録」(2014年、日本)

監督:白石晃士
出演:ヨン・ジェウク、キム・コッピ、葵つかさ、米村亮太朗

2014年9月6日(土)、全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://satsujinsha-kiroku.jp/

作品写真:(C)NIKKATSU/ZOA FILMS
タグ:レビュー
posted by 映画の森 at 08:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。