2014年09月29日

「アンナプルナ南壁 7,400mの男たち」 仲間を助けろ! 死の山での救出劇

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ヒマラヤの中央、東西約50キロに渡って連なる山群アンナプルナ。通称キラーマウンテン(死の山)、世界で最も危険な山とされ、登山者の5人に2人が命を落としている。特にアンナプルナ南壁は最も危ないルート。標高7500メートル地点で7キロも続く尾根を横断しなければならない。

 2008年5月、スペインのベテラン登山家イナキ・オチョア・デ・オルツァは、頂上に向かう途中で高山病に襲われ、同行者のホリアがSOSを発信した。知らせを受けた世界10カ国・12人の登山家たちが救出に向かう──。ドキュメンタリー映画「アンナプルナ南壁 7,400mの男たち」は、実際の遭難事故が題材。同行した登山家や救出活動に参加した人々のインタビュー映像に、記録映像、音声を交えて振り返る。

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 監督は事故にかかわった登山家たちに話を聞くため、世界中を歩いて救出劇の実像を描く。標高7400メートル地点のキャンプ4。連なる氷壁を背に、イナキが自らを撮影している。映像は一転。救出後、地元で普通の暮らしに戻った登山家たちが、当時の状況を語る。

 イナキの同行者でルーマニアの歯科医ホリアは、キャンプ5へ向かう途中でイナキの異変に気づく。渡した携帯電話を受け取れず、意味不明なことを言い始める。高山病にかかったのだ。ホリアはベースキャンプにSOSを発信。情報は瞬く間に世界へ広がり、イナキを救うため、世界中から山男たちがアンナプルナへ向かう。

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 事故当時の記録映像は少なく、作品の大半はインタビュー映像で構成されている。貴重な証言なのだが、観客はその言葉から当時の状況を想像するしかない。ドキュメンタリーのため再現映像も使わないため、登山経験のない観客には分かりづらいかもしれない。美談めいてもいるが、山の怖さを的確に描いた作品だ。

(文・藤枝正稔)

「アンナプルナ南壁 7,400mの男たち」(2012年、スペイン)

監督:パブロ・イラブ
出演:イナキ・オチョア・デ・オルツァ、ウーリー・ステック、ホリア・コリバサヌ、デニス・ウルブコ、アレクセイ・ボロトフ

2014年9月27日(土)、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://7400-movie.com/

作品写真:(C)2012 Arena Comunicacion SL.

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posted by 映画の森 at 12:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | スペイン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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