2014年10月22日

「ヘラクレス」 ギリシャ神話最強の英雄、新解釈・最新技術で壮大に

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 神々の王ゼウスと人間の女を両親に持つヘラクレス(ドウェイン・ジョンソン)は、怪物と戦う“12の難行”を成し遂げて伝説となる。時は流れ紀元前358年。ヘラクレスは金のために戦う傭兵になり、仲間5人とギリシャ諸国をさまよっていた。アテネのエウリュステウス王(ジョゼフ・ファインズ)に仕えていたが、最愛の妻と子供たちを亡くしてその地を去ったのだ。後には「ヘラクレスが家族を殺した」と噂が広がった──。

 ギリシャ神話最強の英雄ヘラクレス。過去にディズニー・アニメーション「ヘラクレス」(97)、レニー・ハーリン監督「ザ・ヘラクレス」(14)でも描かれている。今回のヘラクレス役は“ザ・ロック”の名でプロレスラーとして活動後、俳優に転身したドウェイン・ジョンソン。監督は「ラッシュアワー」(98)、「レッド・ドラゴン」(02)、「X-MEN ファイナルディシジョン」(06)のブレッド・ラトナーだ。

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 冒頭でヘラクレスの誕生秘話、“12の難行”が描かれる。武器が通じない獅子、9つの頭を持つ巨大水蛇、人食い猪、3つの頭を持つ番犬ケルベロス──怪物とヘラクレスの戦いが最新のCG技術で足早に再現される。半神半人の英雄を圧倒的な視覚表現で観客の頭に刷り込み、本編がスタートする。

 強きヘラクレスの登場に期待したところに現れるのは、仲間の力を借りて超人伝説を保ち続ける姿だ。すっかり人間と変わらず、5人の傭兵とチームを組む男に成り下がっていた。そんなヘラクレスはトラキア国王(ジョン・ハート)に「邪悪な戦士レーソス率いる反乱軍から国を守ってくれ」と依頼される。

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 ハーリン監督の「ザ・ヘラクレス」と対照的に、伝説を全否定するような設定。変化球的な作品である。ほぼ人間に近いヘラクレスが国を守るため雇われ、仲間と力を合わせて敵に立ち向かう。黒澤明監督の「七人の侍」(54)を彷彿させる。また、自信を失った主人公が敵との戦いを通し、アイデンティティーを取り戻す姿はアメコミ・ヒーローものにも共通する。

 ジョンソンの圧倒的な存在感に加え、腹に一物を抱えた王役のハートの演技が要となる。ヘラクレスをヒーローではなく、家族を亡くして心に傷を負った男として描いたところがいい。アクションシーンもすごい。ヘラクレスたちと軍隊が王を守るために、陣形を作りながら、四方八方から攻め込む無数の敵と戦う。剣と弓矢が飛び交い、緊張感が頂点に達する。

 ラトナー監督は古典的な英雄伝説をいったん解体し、圧巻のアクションにユーモアを絡め、饒舌に語っていく。最新技術による壮大な娯楽作品。英雄伝説として文句のつけようがない。

(文・藤枝正稔)

「ヘラクレス」(2014年、米国)

監督:ブレット・ラトナー
出演:ドウェイン・ジョンソン、イアン・マクシェーン、ルーファス・シーウェル、ジョセフ・ファインズ、ジョン・ハート、ピーター・ミュラン

2014年10月24日(金)、全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://www.hercules-movie.jp/

作品写真:(c)2014 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

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posted by 映画の森 at 08:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 米国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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