2014年11月16日

「フューリー」ブラッド・ピット&ローガン・ラーマン来日会見 「人間がこれほど進化しても、戦争は絶えない」

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 米戦争映画「フューリー」主演のブラッド・ピット、ローガン・ラーマンが2014年11月15日、東京都内で記者会見した。第二次世界大戦末期のドイツを舞台に、戦争の理不尽と過酷さを描いた作品。ピットは「人間がこれほど進化しても、世界中で戦争が絶えない。戦争の愚かさや矛盾を表した」と語った。

 ピットの来日は10回目、ラーマンは3回目。作品の舞台は1945年4月のドイツ。百戦錬磨の米軍指揮官ウォーダディー(ピット)が、ノーマン(ラーマン)ら部下4人を率い、抵抗するドイツ軍と死闘を繰り広げる。戦車の実物を用いた迫力ある戦闘シーン、戦地に生きる市民との出会いなどを通し、兵士5人の強い絆、戦争の無常さをリアルに映し出す。

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 会見の主なやり取りは次の通り。

 ──完成した作品を観た感想は。

 ピット:編集作業もずっと見て、作ろうと思っていた映画ができた。生々しく、臨場感あふれ、兵士の気持ちになれる作品。精神的、肉体的にも過酷な状況を表現できた。とても普遍的な物語だと思う。

 ラーマン:画面の中の自分を観るのは慣れず、恥ずかしい時もあった。自分にとって「フューリー」は特別。これほど夢中になって作った映画はない。(共演者らと)一緒に4カ月間生活し、その間ずっと仕事だった。100%の力を注いだ。窮地に追い込まれながら頑張った。これほど誇りに思える作品はない。

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 ──戦車の中の撮影はどうだったか。

 ピット:戦車は人が住むように作られていない。居心地良さは考えられていない。動く時に指や足をけがする可能性もある。とにかく厳しく音もすごかった。男5人が入ったので空気も新鮮とはいえず、ひどく臭った。

 撮影前に訓練を経て乗り込んだ。われわれ5人に30トンの戦車をまかせてもらい、慣れてくると細部も分かってくる。実際に戦った兵士はあの中で食べて、寝て、トイレもすませていた。大変な苦労があったんだな、と実感させられた。

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 ラーマン:(戦車は)時には臭いがきつかったが、我が家のように思えた。初めて見た時「こんなもの見たことない」と圧倒された。とにかく中は狭い。「どうやって撮影するのか」と最初は不安になった。きちんと任務を果たせるよう毎日訓練した。

 撮影開始後は5人それぞれ役割が決まり、全員が操縦できるようになった。外のシーンは本物を使い、エネルギーを保って演技できたが、難しかったのは戦車の中。セットを準備するのに2時間ほどかかった。俳優同士協力しながら撮影した。

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 ──物語とキャラクターのどこに魅力を感じたか。

 ピット:5人は訓練を重ね、家族のような絆を結べた。この作品はリーダーシップを見る作品だ。激戦の中で部下の士気を高め、厳しく素早く決定し、確信を持たなければならない。迷いもあるが、部下の前で弱さを見せてはならない。発散する場所はどこか。精神的に面白い研究だと感じた。強い指揮官は時に難しい決断もしなければならない。部下には愛情を持って接する。そんな部分がよく描かれたと思う。

 ──「理想は平和だが、歴史は残酷だ」という一言がある。どんな思いを込めたのか。

 ピット:非常に大事なせりふだ。退役軍人をインタビューする中で聞いた。映画が訴えるのは「家のルールや正義感は戦地や自然の中では通用しない」こと。自分の家で「人間のあるべき姿」を考える時、人は理想や平和を思うだろう。しかし、これほど人が進化しても、世界中で戦争が絶えない。

 戦地にいた兵士が翌日はともに食事し、ビールを飲んだりする。理不尽なことだ。そんな戦争の愚かさ、矛盾を表したのが、あのせりふだ。「われわれは大事にしているものを一瞬忘れなければ生き延びられない」という意味なんだ。

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 ──撮影前の合宿では何をしたのか。

 ラーマン:撮影前に4カ月、共演者が一緒に訓練し、最後の仕上げで合宿した。それぞれ変身し、一丸となり、一つの家族になれるように、負荷をかけなければならなかった。睡眠時間を削り、肉体的な苦痛を強いられた。さまざまな無理難題を投げかけられ、互いの支えなしでは乗り越えられない状況に置かれた。そのうち団結力がつき、個々の任務をこなせるように変わった。

 ピット:俳優5人が1週間、カプチーノも携帯電話も取り上げられて過ごした。軍のエリートが作ったプログラムだったが「ここまでやらされるのか」と思うほど最悪だった。皆さんもこのメニューを試した後は、仕事がよりよくでき、もっといい人間になれるだろう。そんな合宿だった。

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 ──(ラーマンに)1日で戦場を体験する難しい役だ。苦労はあったか。

 ラーマン:脚本を読んだ段階で「難しい役だ」と感じた。理想を掲げて戦地に来たが、1日で変わらなければならない。人を殺したくなくても、1日で殺人者にならなければならない。物語を俯瞰し、意識しながら要所要所で演じ分けた。そのうえ新米兵士役なので、現場でも新米扱い。大変だった。

 ピット:ラーマンの役が一番厳しかったと思う。撮影前に残りのメンバーがかなり仲良くなっていたので、本当の意味で彼は新人だった。週末に休みも取らず撮影した。大変だっただろうが彼は耐え、私たちに挑戦してくることもあった。

(文・遠海安 写真・岩渕弘美)

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「フューリー」(2014年、米国)

監督:デビッド・エアー
出演:ブラッド・ピット、シャイア・ラブーフ、ローガン・ラーマン、マイケル・ペーニャ、ジョン・バーンサル

2014年11月28日(金)、TOHO シネマズ日劇ほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://fury-movie.jp/

作品写真:(C)Norman Licensing, LLC 2014

タグ:記者会見
posted by 映画の森 at 17:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | 米国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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