
スペイン発感染パニック・ホラーのシリーズ最終第4作「REC レック4 ワールドエンド」。謎のウイルスが原因で多くの犠牲者が出たバルセロナのアパート。唯一の生存者アンヘラ(マニュエラ・ベラスコ)が大型貨物船上で目を覚ます。そこはウイルスの臨時検疫施設だった──。
アパートで起きた感染パニックを描き、世界的なヒットとなった「REC レック」シリーズ。1作目は主観映像(P.O.V)だけのフェイク・ドキュメンタリー。感染者が凶暴化し、人を襲うゾンビ映画スタイルに、オカルト風に味付けた作品だった。2作目はアパートに突入した特殊部隊らの視点を加えた。3作目は通常撮影を交えて番外編的作品となった。

今回の最終作「REC レック4 ワールドエンド」は、2作目のラストの直後から始まる。特殊部隊に救出されたアンヘラが、そのまま物語をつないでいく。今回は完全な通常撮影で、主観映像は一部に残るのみだ。
舞台は陸地から遠い海上の貨物船。内部はウイルスを研究する医師リカルテの極秘施設だった。アンヘラと彼女を助けた特殊部隊員グスマンらのほか、監視役の軍人、乗務員が多数乗っている。そこへ研究用に飼われていたサルが脱走。サルがウイルスを持っていたため、船内はパニック状態に陥る。

外部との通信手段は途絶え、救命艇も使えず、密室状態になった船内。逃げ場のない惑星を舞台にした「エイリアン2」(86)を思い起こさせる。しかし、作品の持ち味だった主観映像をやめたため、ごく一般的なホラー映画になった印象を受ける。逆に主観映像の足かせがなくなり、柔軟な演出が可能になった。オカルト色は薄れ、直球勝負のショックとスプラッター演出で魅せる作品だ。
(文・藤枝正稔)
「REC レック4 ワールドエンド」(2014年、スペイン)
監督:ジャウマ・バラゲロ
出演:マヌエラ・ベラスコ、パコ・マンサネド、エクトル・コロメ
2015年1月31日(土)、新宿武蔵野館、シネマサンシャイン池袋ほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。
http://www.rec4.jp/
作品写真:(C)2014 REC APOCALYPSE, AIE - CASTELAO PICTURES S.L. All rights reserved.
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