
韓国が開発した超小型核兵器をめぐり、香港、中国、韓国、謎の犯罪組織「ヘリオス(赤道)」が争奪戦を繰り広げる「ヘリオス 赤い諜報戦」。香港を舞台にアジアのスターが集結した大型推理アクションだ。
犯罪組織「ヘリオス」が操る“使者”(チャン・チェン)が、超小型核兵器「DC-8」を保管庫から奪った。香港で「DC-8」が取引されると聞きつけた香港警察は、核専門家シウ教授(ジャッキー・チュン)の指示を仰ぎ、リー隊長(ニック・チョン)を中心に対策を練る。

韓国情報当局のチェ(チ・ジニ)とパク(チェ・シウォン)も香港に到着。“使者”らとの激しい銃撃戦の末、香港と韓国の合同チームは「DC-8」の奪還に成功する。ところがそこへ中国政府から派遣されたソン(ワン・シュエチー)が登場。「DC-8」は韓国へ戻されず、香港で保管されることになるが──。
香港、韓国、中国、犯罪組織「ヘリオス」。それぞれの思惑が交錯し、ぶつかり合う。一国二制度を維持する香港は、いわば中立的な立場。そこへ韓国と中国が乗り込み、核兵器をめぐって対立する。実際の外交取引さながらの情報戦は、緊迫感とリアリティー十分だ。

俳優も実力派が集まった。事態の鍵を握るシウ教授を演じたジャッキー・チョンは、中華圏を代表する大物歌手。リー隊長には香港の実力派ニック・チョン、“使者”には台湾からチャン・チェン。韓国ドラマでおなじみのチ・ジニ、K-POPで人気の若手チェ・シウォン。中国からはベテラン俳優ワン・シュエチーと、主演級の俳優がそろった。
監督は「コールド・ウォー 香港警察 二つの正義」のリョン・ロクマンとサニー・ルク。北東アジアの危ういバランスを緻密な脚本で描いている。映画界で進む中華圏と韓国の接近が反映されるところへ、日本が意外な形で絡んでくるもの興味深い。
(文・遠海安)
「ヘリオス 赤い諜報戦」(2015年、中国)
監督:リョン・ロクマン、サニー・ルク
出演:ジャッキー・チュン(張學友)、ニック・チョン(張家輝)、ショーン・ユー(余文樂)、チ・ジニ、チェ・シウォン
2016年1月9日(土)、有楽町スバル座ほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。
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