

イタリア映画の新作を一挙紹介する「イタリア映画祭2016」が2016年4月29日〜5月8日、東京と大阪で開催される。今年は新作12本(大阪は7本)のほか、ルキノ・ビスコンティ監督の生誕110年を記念して「若者のすべて」(60)、1月に亡くなったエットレ・スコーラ監督「特別な一日」(77)も特別上映される。
イタリア映画祭は01年にスタートして16回目。毎年ゴールデン・ウィークの恒例イベントとして定着した。今年は昨年以降に製作された新作がそろった。
ベルリン国際映画祭コンペティション部門出品作「処女の誓い」は、アルバニアの山村が舞台。男尊女卑の村に生まれた少女が、男として生きることを誓い、やがてイタリアへ旅立つ物語。女性監督ラウラ・ビスプリのデビュー作。
イタリアで映画興行収入記録を塗り替えたコメディー「オレはどこへ行く?」は、解雇を言い渡された公務員が主人公。主演のケッコ・ザローネは出演作が軒並みヒットする当代きっての人気俳優。今回の映画祭に来日を予定している。


仏ベテラン女優ジュリエット・ビノシュ主演の「待つ女たち」は、ベネチア国際映画祭コンペティション部門に出品された。女性二人の関係性、心理の変化を細やかな演出で浮かび上がらせる。ピエロ・メッシーナ監督のデビュー作。
「皆はこう呼んだ『鋼鉄ジーグ』」は、日本のアニメ「鋼鉄ジーグ」の熱狂的女性ファンが、超人的な力を得た男を支える物語。ローマ国際映画祭では「独自性あふれる娯楽作」と喝采を浴びた。
イタリアを代表する巨匠タビアーニ兄弟の新作「素晴らしきボッカッチョ」は、文豪ボッカッチョの名作「デカメロン」の翻案。原作で語られる100の物語のうち、愛についての五つの話が順繰りに披露される。
ローマの裏社会を描く「暗黒街」は、骨太な王道ギャング映画。金、権力、欲望渦巻くローマで、政治家や宗教関係者を巻き込む暴力の連鎖が展開する。
期間中は「オレはどこへ行く?」主演のケッコ・ザローネ、「皆はこう呼んだ『鋼鉄ジーグ』」主演のクラウディオ・サンタマリアらゲスト9人が来日し、上映に合わせたトークセッションなどに参加する。サンタマリアは、日本で公開中のエルマンノ・オルミ監督最新作「緑はよみがえる」での舞台あいさつも予定されている。
「イタリア映画祭2016」は4月29日(金・祝)〜5月5日(木・祝)に東京・有楽町ホール(千代田区有楽町2-5-1 マリオン11階)、5月7(土)〜8日(日)に大阪・ABCホール(大阪市福島区福島1-1-30)で開催。作品の詳細や上映スケジュールは公式サイトまで。
http://www.asahi.com/italia/2016/
(文・遠海安)