
超常現象研究家のウォーレン夫妻の家に、強烈な呪いを持つ人形「アナベル」が運び込まれ、地下の博物館に他の呪われた品々と一緒に厳重に封印された。夫妻が仕事で家を空けた日。娘のジュディ(マッケナ・グレイナ)は年上の少女メアリー(マディソン・アイズマン)、ダニエラ(ケイティ・サリフ)と3で一夜にを過ごす。しかし、ダニエラが博物館に勝手に入り込み、アナベルの封印を解いてしまう──。
「アナベル 死霊博物館」は、「死霊館」(13)に登場した人形アナベルを主人公としたシリーズ第3弾だ。パトリック・ウィルソンとベラ・ファーミガが、ウォーレン夫妻として再登場する。原案、製作は「死霊館」シリーズを生んだジェームズ・ワン、監督、脚本は「アナベル」シリーズ、「IT イット “それ”が見えたら、終わり」(17)のゲイリー・ドーベルマン。今回が長編デビューとなる。

「死霊館」シリーズから派生した「アナベル」シリーズ第3弾だが、前2作が「死霊館」の前日譚だったのに対し、今回は後日談を描いている。つまり「死霊館」の後なので、物語をある程度自由に創作できる。人形の恐怖に焦点を絞り、ジュディら少女たち、さらに男友達の話を中心とした。夫妻の家で一夜を過ごし、彼らはさまざまな恐怖を味わう。観客を怖がらせることに特化し、ホラーの原点に立ち返った構成と演出が潔い。
ドーベルマン監督の演出は、緩急をつけつつ、非常にシンプルだ。アナベルを預かったことで発生する墓地での超常現象。ジュディが学校で見てしまう神父の亡霊。ダニエラが過去に犯した父を巡る過ち。アナベル以外のエピソードをうまくふくらませ、伏線を張りめぐらせる。クライマックスでは恐怖をたたみかけながら、伏線をうまく回収していく。

シリーズ前2作は「死霊館」につながるよう整合性が求められたが、今回は人形と博物館の品々が巻き起こす恐怖に特化した。「お化け屋敷」的な恐ろしさを押し出し成功している。対象年齢を引き下げたようにシンプルで、計算されたショック演出。シリーズを知らない観客も十分楽しめるだろう。
(文・藤枝正稔)
「アナベル 死霊博物館」(2019年、米)
監督:ゲイリー・ドーベルマン
出演:マッケンナ・グレイス、マディソン・アイスマン、ケイティ・サリフ、パトリック・ウィルソン、ベラ・ファーミガ
2019年9月20日(金)、全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。
http://wwws.warnerbros.co.jp/annabelle-museumjp/
作品写真:(C)2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved