2019年11月26日

「EXIT」有毒ガスから逃れ、ビルを駆け上がれ 韓国サバイバル・アクション

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 今年の夏、韓国で大ヒットしたサバイバル映画「EXIT」。若手実力派俳優チョ・ジョンソク、ガールズ・グループ「少女時代」のユナが、体を張ったアクションに挑戦している。単純なパニック映画と違い、ドキドキしながら心にじわじわ響く感動作品だ。

 何をやってもうまくいかない就職浪人のヨンナム(チョ・ジョンソク)は、母(コ・ドゥシム)の古希祝いの宴会場で、学生時代に思いを寄せたウィジュ(ユナ)と再会する。再会の喜びもつかの間、二人は突如発生した有毒ガスに巻き込まれる。上昇してくるガスから逃れるため、ビルの上へ上へ上がっていく二人。屋上から救助が始まったが、二人はヘリに乗りきれず、次の救助を待つことに。しかし待つ間もガスは広がり、二人は自力脱出を試みる──。

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 毒ガス発生の原因や、巻き込まれた人々の人間模様など、よくあるパニック映画のエピソードはほとんど描かれない。どん底にいる若者たちが、迫り来るガスから逃れるため、必死に上を目指して行く。ヨンナムとウィジュは、学生時代山岳部だった。その経験を生かし、身の回りのものと体を使い、自分と互いを信じて困難を乗り越えて行く。

 舞台はとある町のそれほど高くないビル。派手なアクションもなく、特別なヒーローもいない。二人が力を合わせ、壁を登り、建物を飛び移る。必死で生きようとするさまは、厳しい現状からの脱出にも重なる。緊迫感の間に、微妙な心境の変化も描いている。

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 チョ・ジョンソクは、軽快な動きとコミカルな演技で存在感が際立つ。動画で現場を見た人たちが、ドローンを使って見ず知らずの二人を手助けする。動画サイトでは多くの人が声援を送る。いまどきのツールをうまく取り入れており、最後まであきらめない二人はすがすがしく、思わず応援したくなる。イ・サングン監督は、青龍映画賞で新人監督賞を獲得した。

(文・岩渕弘美)

「EXIT」(2019年、韓国)

監督:イ・サングン
出演:チョ・ジョンソク、ユナ、コ・ドゥシム、パク・インファン、キム・ジヨン

2010年11月22日(金)、新宿武蔵野館ほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

https://gaga.ne.jp/exit/

作品写真:(C)2019 CJ ENM CORPORATION, FILMMAKERS R&K ALL RIGHTS RESERVED

posted by 映画の森 at 21:44 | Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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