鬼才ジョン・カーペンター監督の傑作ホラー「ハロウィン」シリーズ最新作。前作に続きジェイミー・リー・カーティスが主演し、デビッド・ゴードン・グリーン監督がメガホンを取った。
ローリー(カーティス)と“ブギーマン”ことマイケル・マイヤーズの40年にわたる戦いは、決着がついたはずだった。しかし、ローリーの仕掛けたわなからマイケルが生還。さらに凶行を重ねていく。
カーペンター監督「ハロウィン」(78)の40年後を描いた同名続編(18)に続く作品だ。前作に続いてグリーンが監督し、カーペンター監督も原案、製作総指揮、音楽で名を連ねている。製作会社はジェイソン・ブラムが設立したホラー・レーベル「ブラムハウス・プロダクションズ」。
「ハロウィン」シリーズの構成は複雑だ。カーペンター監督のオリジナル版の直後を描いた続編「ブギーマン」(81)、番外編「ハロウィンV」(82)、「ハロウィン4 ブギーマン復活」(88)、「ハロウィン5 ブギーマン逆襲」(89)。「ハロウィン6 最後の戦い」(95)ではマイケルの主治医ルーミス(ドナルド・プレザンス)とブギーマンが対決する。続編は量産され続け、プレザンス亡き後に仕切り直しでオリジナル版ローリー役のカーティスが復活。「ハロウィンH20」(98)と「ハロウィン レザレクション」(02)が製作された。一方、ロブ・ゾンビ監督が78年版をリメイクした「ハロウィン」(07)、その続編「ハロウィンU」(09)に、カーペンター監督はかかわっていない。
今回の「ハロウィン KILLS」は、オリジナル版の直後から幕を開ける「ブギーマン」と良く似ているが、別の道へ進化しながら突き進む。舞台はマイケルの生まれ育ったハドンフィールド。カーティスは脇に回り、オリジナル版でローリーがベビーシッターをしていたトミーとリンジーが大人になり、娘を殺された警官ブラケットも登場。ルーミスの助手の看護師マリオンも復活。リンジー、マリオン、ブラケットはオリジナル版キャストというこだわりぶりだ。
精神病院に40年閉じ込められたマイケルが解き放たれ、ハドンフィールドに舞い戻り、殺人を繰り返す。いつものパターンだが、今回は住民たちが立ち上がり、諸悪の根源マイケルを葬ろうと動き出す。平常心を失い暴走する集団心理の危うさが描かれる。
表向きは暴力性と狂暴性が増したマイケルの殺人鬼ぶり、神秘性が融合したスプラッターホラー映画の王道。しかし、ホラー映画の形を取りながら、社会性を感じさせる作品となった。
(文・藤枝正稔)
「ハロウィン KILLS」(2021年、米)
監督:デビッド・ゴードン・グリーン
出演:ジェイミー・リー・カーティス、ジュディ・グリア、アンディ・マティチャック
2021年10月29日(金)、TOHOシネマズ日比谷ほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。
https://halloween-movie.jp/
作品写真:(C)UNIVERSAL STUDIOS