2012年02月10日

「フラメンコ・フラメンコ」 生命の旅と光 音楽の情熱に乗せ

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 「ガラスの飼育」「血の婚礼」「カルメン」などで知られるスペインのカルロス・サウラ監督と、「暗殺の森」「地獄の黙示録」「ラストエンペラー」で“光の魔術師”と賞されたイタリアの撮影監督ヴィトリオ・ストラーロ。二人が初めて組んだ「フラメンコ」(95)は日本でもヒットし、フラメンコ熱が一気に加速した。二人はその後も「タンゴ」「ドン・ジョヴァンニ 天才劇作家とモーツァルトの出会い」など、ダンスと音楽をテーマにした作品を撮り続けた。さらに踊りの真髄に迫った作品が「フラメンコ・フラメンコ」だ。

 フラメンコは歌(カンテ)、踊り(バイレ)、ギター(フラメンコギター)伴奏が主体となった、スペインのアンダルシア地方に伝わる民族芸術。情熱的でダイナミックな世界は人々を魅了してやまない。「フラメンコ・フラメンコ」は、「生命の旅と光」をテーマに、人の誕生から晩年、そして復活を、多彩なパロ(曲種)を用い全21幕で描き出す。

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 サウラ監督によると、生命の旅は“音楽に乗って人間の一生を巡る”ことという。誕生の「アンダルシアの素朴な子守唄」から始まり、幼少期の「アンダルシア、パキスタンの音楽とそれが融合した音楽」、思春期の「より成熟したパロ」、成人期の「重厚なカンテ」、死期の「奥深く、純粋で清浄な感情」。そして希望ある再生につなげ、命のよみがえりに期待を抱かせる。

 スタジオに作られたスペースをステージに見立て、各楽曲を一幕として21曲を使用。曲に合わせた背景や絵画が用意され、光と影を徹底的にコントロール。ストラーロは陰影の強い濃厚な絵を作り出し、画面に命を吹き込む。

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 フラメンコ界の“神”と称されるマエストロたちと、新世代の豪華アーティストの競演が繰り広げられる。フラメンコ好きには夢のようだろう。クライマックスは79年、ジョン・マクラフリン、ラリー・コリエルと“スーパー・ギター・トリオ”を組み人気を得たフラメンコ・ギターの名手、パコ・デ・ルシアが登場。重厚な演奏を披露する。本国スペインに次ぎ、世界2位のフラメンコ人口を抱える日本。多くのファンを魅了するに違いない。

(文・藤枝正稔)

「フラメンコ・フラメンコ(2010年、スペイン)

監督:カルロス・サウラ
出演:サラ・バラス、パコ・デ・ルシア、マノロ・サンルーカル、ホセ・メルセー、ミゲル・ポベダ、エストージャ・モレンテ、イスラエル・ガルバン、エバ・ジェルバブエナ、ファルキート、ニーニャ・パストーリ

2月11日、渋谷Bunkamuraル・シネマほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

http://www.flamenco-flamenco.com/
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2009年01月10日

「チェ 39歳 別れの手紙」 ゲバラの最期 伝説になるまで

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 キューバ革命の英雄、チェ・ゲバラの生涯で、二つの重要な時代にスポットをあてる「チェ」2部作。後編にあたる「チェ 39歳 別れの手紙」は、革命家誕生を描いた「チェ 28歳の革命」と対照的に、ゲリラ軍の後退からゲバラの死までが描かれる。

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2009年01月07日

「チェ 28歳の革命」 “革命家・ゲバラ” 誕生まで

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 キューバのゲリラ指導者、チェ・ゲバラ。生涯で重要な二つの時代にスポットをあて、人物像をあぶり出す「チェ」2部作。第1部にあたる「チェ 28歳の革命」は、革命家が誕生する輝かしい瞬間をとらえた作品だ。主演は「トラフィック」のベニチオ・デル・トロ。監督は「オーシャンズ」シリーズのスティーブン・ソダーバーグである。

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2008年12月18日

「チェ」2部作 ベニチオ・デル・トロ×ソダーバーグ監督会見

伝説の革命家・ゲバラ 波乱の半生 「彼は真実を求める人だった」

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 キューバ革命の指導者、チェ・ゲバラの半生を描く伝記的2部作「チェ 28歳の革命」「チェ 39歳 別れの手紙」主演のベニチオ・デル・トロ、スティーブン・ソダーバーグ監督が12月18日、東京・御茶ノ水で記者会見した。伝説の革命家・ゲバラを熱演し、今年のカンヌ国際映画祭で主演男優賞を獲得したデル・トロ。「ゲバラは真実を求める人だった。自らを触発する何かを、映画から受け取ってもらえれば」と語った。

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2008年12月01日

「アラトリステ」 ヴィゴ・モーテンセン来日会見

伝説の英雄を熱演 「歴史を深く掘り下げ、スペインを代表する作品に」

ヴィゴ・モーテンセン来日会見1_200.jpgヴィゴ・モーテンセン来日会見2_200.jpgヴィゴ・モーテンセン来日会見3_200.jpg

 17世紀のスペインを舞台に、伝説の英雄の活躍を描く歴史大作「アラトリステ」の主演俳優、ヴィゴ・モーテンセンが12月1日、東京都内で記者会見した。来日は「ヒストリー・オブ・バイオレンス」(05)公開以来で、約3年ぶり5回目。「スペインの人々が、自国の歴史を振り返る初の映画。歴史を深く掘り下げるチャンスで、20年後もスペインを代表する作品になるだろう」と語った。

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