
釜山国際映画祭のオープニングを飾ったのは、チャン・ジン監督の新作「グッドモーニング・プレジデント」。韓国の大統領3人の、人間らしい姿を描くコメディーだ。チャン・ドンゴンが大統領を演じることで話題が先行していたが、実際のできごとにヒントを得たエピソードがちりばめられ、チャン・ジン監督得意の社会風刺劇となっている。
登場する3人の大統領は、くじに高額当選したことから小市民的な悩みが始まるキム・ジョンホ(イ・スンジェ)、その後任で革新政党出身、シングルファーザーのチャ・ジウク(チャン・ドンゴン)、初の女性大統領となるが、夫との離婚問題が浮上し苦しむハン・ギョンジャ(コ・ドゥシム)。それぞれが抱える葛藤と苦悩を打ち明ける先は、青瓦台(大統領府)の厨房の料理人だ。

韓国では大統領はあらゆる実権を持つ最高権力者であるだけに、国民も特別な人間として見る。オープニングに先立って行われた記者会見でチャン・ジン監督は「権力者であっても理解したいという気持ちがあった。大統領も人間なんだということを伝えたかった」と話した。エピソードの中には日本と北朝鮮の対立、日韓首脳会談での対立、与党のあげ足を取る野党、ランチに酒を飲んで赤い顔で記者会見する党首など“どこかで見たシーン”や“ありそうなシーン”が満載。政治的な意図があったかどうかが気になるが、監督は「政権を批判したり揶揄(やゆ)するつもりはない。大統領にも苦悩や悲しみがあることを私たちは理解する、だから国のために力を尽くしてほしいという思いがあるだけ」と説明した。
続きを読む